世界経済を知ることで、株式市場の動きを理解するのに役立ちます。
なぜなら、経済と株式市場には相関があるためです。
今後、景気が良くなると予想される場面では、投資家が先回りして株式を購入します。
このように一般的に株価は、経済の先行指数と呼ばれています。
経済が良くなる前に株価は上がる
そして、経済的に良くないニュースにより、株価が下がるのは突然です。
例えば、GDP成長率は経済指標の一つですが、世界経済をより俯瞰して見るためには、その他の経済指標も読み解く必要があります。
コロナショックにおいても、経済指標の一つであるGDP成長率が落ち込んでいる場面で、株式市場は上昇しています。
そこで今回は、世界経済を読み解き、投資に役立てるための、経済指標をいくつかご紹介します。
金利と株式市場との関係
国の中央銀行が、政策金利を引き下げると株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか?
金利が引き下げられることで、企業や個人がお金を借りやすくなります。
「お金が借りやすくなることで、消費も促されやすくなる」
そのため、金利引き下げは景気回復策として実施されます。
過去にあった緊急金利引き下げのタイミングとしては、ITバブル崩壊やリーマンショック、コロナショックが挙げられます。
金利引き下げの効果
過去の金利引き下げによる効果を見ると、
利下げから1か月で、平均3%程度は株式市場が上がっています。
ですが、6か月後に平均およそ‐4%、1年後にはおよそ‐9%と下がっています。
よって、金利引き下げ後は短期的には株式市場は上昇しますが、6か月~1年で株式市場が低迷する可能性が示唆されています。
FRB(アメリカの中央銀行である連邦準備理事会)が金利を値下げすると、株式市場は短期的には上がるが、その後しばらく下がることが多いです。
金利引き下げ効果
- 短期的には株価上昇
- その後6か月~1年で株式市場低迷の可能性あり
金融緩和の影響
世界中の中央銀行が金利を下げたり、株式や債券を買い入れる
このような金融緩和が起こることにより、恩恵を受けるのは富裕層です。
貧困~中間層は、そもそも株式や債券に資金を回す余裕が無く、現金比率が高いです。
しかし、富裕層は資産を株や債券に分散させているので、結果的に富裕層の資産がさらに増える形となるのです。
したがって、金融緩和により市場にお金が流れても、みんながその恩恵を受けるわけではありません。
景気後退を判断する指標
景気後退の定義とは何でしょうか?
その答えの一つが、「2四半期連続でGDP成長率がマイナスになる」ことです。
これを「リセッション」と言います。
世界のGDP約7割は「米国」「中国」「ユーロ圏」「日本」が占めています。
よって、この地域の確認は不可欠です。
その他にも、景気後退を予測する指標「CLI」があります。
それぞれご紹介します。
Composite Leading Indicator(CLI)とは
GDPの発表前に、景気後退を予測する指標の1つが、「CLI」というデータです。
このデータは、「将来の経済活動を予測することを目的とした経済指標」になります。
先行指数としては、株式指数や消費者態度指数などが知られていますが、CLIではこれらのデータを活用しています。
このデータは、OECDのサイトで誰でも確認することができます。
以下のURLをご参照ください。
Leading indicators – Composite leading indicator (CLI) – OECD Data
先行指数でGDPの動きを予測して景気後退の前兆を見極めましょう。
その他の先行指数
どの国でも、景気後退前には先行指数が下がる傾向にあります。
前述したCLI以外にも、先行指数として知られるのは以下の通りです。
- 株式指数
- 失業率
- 製造指数
- 新規ビルの建築許可数
- Leading Economic Index(LEI)
このように、先行指数はさまざまです。
中でもLEIは数多くの先行指数を計算に含んでおり網羅的な指数ともいえるでしょう。
日本経済を把握する指標
日本の経済を把握する指標で押さえたいのが、「GDP成長率」と「PMI」の2つです。
それぞれ、もう少し詳しく紹介します。
GDP成長率
GDPとは、「ある国でどれだけ商品を作ったり買ったりしたか、サービスを提供したかを数値化したもの」です。
このGDP成長率は、国の成長率と言い換えることもできます。
過去のデータから、現在の景気動向を把握する指標として活用できます。
例えば、今回のコロナショックは、日本経済への影響がどれほどあったのでしょうか?
内閣府が2021年5月18日に発表した昨年度・2020年度のGDPによると、実質の伸び率がマイナス4.6%であり、比較可能な1995年度以降で最大の下落となっています。
このように、日本経済の良し悪しを、数値的に判断できる点では有益です。
あとは、何が景気に影響しているかを読み取れるよう、
経済ニュースや情報のアップデートが必要です。
Purchasing Manager’s Index(PMI)
PMIは、購買者景気指数とよばれるものです。
毎月企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用状況についてアンケート調査した結果をまとめたデータです。
PMIには、「製造業」「非製造業」「サービス業」があります。
一般的に、PMIが50を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が続くと景気減速を意味します。
PMIが有用な理由は以下の通りです。
- 月次で発表されるデータなので、現状を把握するのに適する
- 経営者心理が働いている
ちなみに、日本での計算方法は数百社の購買担当者に景況感を調査してまとめたデータとなります。
国のデフォルトでマーケットはどう動く?
国がデフォルトする場合、どのような指標が役立つのでしょうか?
デフォルトとは、「債務不履行の状態」を言います。
簡単に言えば、借金が返済できないような状態です。
このような状態になる前に、デフォルトに関してチェックしておきたいのが通貨の値動きとCDSです。
通貨の値動き
デフォルトする国の為替が、米ドルに比べて下がっているかどうかを判断します。
通貨価値が下がっている場合、土地や株式も国際的な価値が下がります。
デフォルトする際には、後述するCDSと連動し、通貨は下落します。
よって、まずは通貨価値をみる必要があります。
デフォルトを保証するCDSとは?
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)
CDSは保険商品の一種です。
債券のデフォルトに対して支払うという保険となります。
実際に、国がデフォルトすると、保険から保険金が支払われ、損失部分がカバーできるという仕組みです。
例えば、デフォルトが予測されていれば、CDSなどのマーケットは動きません。
このようにマーケットが反応しているか確認して、メディアの情報が重要か、冷静な判断ができます。
つまり、「報道で大々的にニュースとして取り上げられたとしても、事の重大さはそこまでではない」とマーケットで判断できることを覚えておきましょう。
大暴落が来ても狼狽しないための心構え
先行指数で、暴落の兆候が予測出来ても、タイミングの良いローテーションは困難です。
最悪の場合、焦って狼狽売りしてしまうこともあるかもしれません。
長期投資であれば、暴落はむしろ絶好の買い場です。
そして、ボラティリティを低くするため、日頃から資産クラスの分散を心がけましょう。
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まとめ
本記事のまとめは、以下の通りです。
- 金利引き下げ後、短期的に株式相場は上昇するがその後は低迷
- 景気後退を判断する指標は、GDP成長率よりもCLI
- その他の先行指数も参考になる
- 国のデフォルト時には、通貨価値とCDSでマーケットの反応を確認
過去の大暴落やコロナショックが世界経済にどの程度影響しているかを数値で知ることで、より良い投資判断をする一助となります。
本記事の内容は以上です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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