各資産クラスで信託報酬最安値となっているeMAXIS Slimシリーズ。
新興国株式に分散投資ができるのがeMAXIS Slim 新興国株式インデックスの魅力です。
コスト的にもお得に感じるかもしれませんが、個人的には新興国株式インデックスへの投資はおすすめしません。
そこで、今回は新興国株式インデックスファンドの概要と、なぜおすすめしないのか?について解説します。
それでは、よろしくお願いします。
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス の特徴
連動する指数
まず、何をベンチマークにしているか紹介します。
eMAXIS Slim 新興国株式インデックスは、「MSCI エマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース)」をベンチマークとしています。
この商品は、為替ヘッジを行いません。
為替ヘッジとは、為替変動リスクを回避するよう運用することです。
つまり、為替ヘッジをしないということは、円高や円安の影響を受けやすいと言えますね。
「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」は新興国26ヵ国の大型および中型株式約1,400銘柄で構成されています。
そして、市場全体の時価総額の85%をカバーするインデックスです。
上位組み入れ国
上位10か国の組み入れ割合は次の通りです。
国・地域 | 比率 | |
1 | ケイマン諸島 | 27.8% |
2 | 台湾 | 11.9% |
3 | 韓国 | 11.7% |
4 | 中国 | 11.3% |
5 | インド | 7.8% |
6 | ブラジル | 4.3% |
7 | 南アフリカ | 3.2% |
8 | サウジアラビア | 2.5% |
9 | ロシア | 2.2% |
10 | 香港 | 2.0% |
1位はケイマン諸島でかなりの割合を占めています。
ケイマン諸島はどんなところかというと、海外リゾート地や租税回避地として有名です。
米国を中心とする多数の観光・商用目的の訪問客が訪れます。
また、租税回避地とは、一定の課税が軽減・免除される国や地域を表します。
よって、観光産業・ビジネスの両面において、活気がある地域と言えます。
セクター比率
それでは、セクター比率についても見ていきましょう。
上位10位までの組み入れセクターは以下の通りです。
業種 | 比率 | |
1 | 小売 | 14.6% |
2 | 銀行 | 11.5% |
3 | メディア・娯楽 | 9.8% |
4 | 半導体 | 7.9% |
5 | テクノロジー・機器 | 7.7% |
6 | 素材 | 6.5% |
7 | エネルギー | 4.7% |
8 | 食品・飲料・タバコ | 3.3% |
9 | 電気通信サービス | 3.0% |
10 | 保険 | 2.9% |
ケイマン諸島には、中国企業のアリババやテンセントが含まれています。
小売ではアリババ、メディア・娯楽はテンセントと中国の占める割合はやはり多いですね。
純資産総額と低コストは魅力
純資産総額
現時点で、およそ736億円。
純資産総額自体は、右肩上がりです。
新興国株式の他の投資信託と比較し、純資産総額の年間増加額が最も多く、人気の高さが伺えます。
コスト
- 購入手数料:なし
- 信託報酬:0.187%以内
- 信託財産留保額:なし
新興国株式の投資信託では、業界最低水準のコストです。
例えば、ニッセイ新興国株式では、信託報酬0.2079%となっています。
ただ、実質コストは0.404%と高めです。
他の商品とコストを比較すると
ニッセイ新興国株式以外に、他社の新興国投資信託と比較します。
i-SMT 新興国株式インデックス
信託報酬:0.363%
つみたて新興国株式
信託報酬:0.374%
たわらノーロード新興国株式
信託報酬:0.374%
その他のファンドも、コスト面で言えばeMAXIS Slim 新興国株式インデックスまでの安さとは言えません。
コア資産としておすすめしない理由
以上を踏まえて「積み立て」つまりコア資産としてはおすすめしない理由をご紹介します。
過去のチャートでリターンを比較
投資信託では過去3年ほどしか比較できないため、ETFのVOO(S&P500)とVWO(新興国)の過去10年チャートを比較しました。
VOO:オレンジ VWO:青
すると、VWOは波がありますが、ほぼ横ばいであることが分かります。
ちなみに、米国株式と新興国株式の投資信託の基準価格推移は以下をご確認ください。
比較チャート | インデックスファンド・シリーズ eMAXIS(イーマクシス) (emaxis.jp)
新興国株式にも投資したいなら、全世界株式インデックスで十分
同シリーズの全世界株式(オールカントリー)であれば、先進国や新興国にまんべんなく投資可能です。
国別にリスク分散を図りたい方へおすすめです。
全世界株式インデックスの新興国比率は13%
現在、オールカントリーでは新興国株式の組み入れ比率は全体の13%です。
米国株式は、全体の約57%の割合です。
また、その他の割合は、先進国株式が占めています。
新興国株式が含まれている分、現在は米国株式インデクスファンドと比較するとリターンは劣ります。
オールカントリーか除く日本か
全世界株式と言っても、eMAXIS Slimシリーズには2つの投資信託があります。
「オールカントリー」と「除く日本」です。
その名の通り、オールカントリーですべての国へ投資可能です。
一方、すべての国から日本を除いたのが「除く日本」です。
違いが気になる方は、以下をご参照ください。
リバランスする目的であれば、新興国株式ETF
自身でポートフォリオを組み替えているのであれば、VWOがおすすめです。
新興国の大暴落が起きたタイミングで投資する
リバランスする目的で購入するのも一つです。
コストも、投資信託と比較し、さらに割安です。
こちらも他記事で紹介しているので、参考までに。
投資信託で積み立て投資のコアはやはり全世界株式や米国株式
以上を踏まえると、やはりコアとなるのは米国株式や全世界株式インデックスファンドではないでしょうか。
ただ、米国株式も10年以上伸び悩む時期がありました。
そして、今後は新興国株式が右肩上がりになることも否定できません。
それでも、新興国は先進国より政治的リスクが高いこと、GDP成長と株価上昇は相関しないことを考えるとコア資産にするのは避けたいです。
まとめ
新興国株式インデックスファンドは積み立て対象になりにくいことをご紹介しました。
理由は、以下の通りです。
- 過去のチャートは、ほぼ横ばい
- 全世界株式や米国株式など期待できる商品がある
- 新興国の政治的リスクは高い
保有するとしても、暴落時での買い増しやリバランス、中期的な売買が良いかと思われます。
本記事の内容は以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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