資産運用で株や債券だけでなく、不動産にも興味がある方がいらっしゃると思います。
不動産自体は数千万という多額の資金が必要になることもあります。
しかし、REIT(不動産投資信託)は、少額から投資が可能です。
結論から言うと、「REITは投資対象としてはあり」だと考えます。
今回は、不動産投資としてのメリットとデメリットを踏まえ、「REITは選択肢としてあり」な理由をご紹介します。
REITとは(REITの仕組み)
J-REITは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。不動産に投資を行いますが、法律上、投資信託の仲間です。もともとは、REITという仕組みはアメリカで生まれ、「Real Estate Investment Trust」の略でREITと呼ばれています。
投資信託協会ホームページより引用
REITとは、簡単にいうと不動産投資を専門に取り扱う会社です。
投資家から集めた資金で、不動産の保有と運用を行います。
その不動産で得られた収益は、分配金として投資家に還元されます。
日本の場合、Japanの頭文字をとって、J-REITと呼ばれます。
REITのメリット
少額からの不動産投資が可能
個人では購入できないような、土地や物件に投資が可能です。
前述したように不動産投資には、事前にそれなりの資金が必要です。
借り入れして、不動産を購入する…
REITなら、わざわざそこまでのリスクを背負う必要がありません。
高額な不動産があっても、そのオーナーの一人になることができるのがメリットです。
高利回りの分配金が期待できる
JーREITの分配金利回りは、平均4%前後と言われています。
このように、不動産による安定した分配金が期待できます。
高利回りの背景としては、REIT側が得た90%以上の収益を、投資家に分配することで法人税が課されないという仕組みになっていることが影響しています。
さまざまな物件に分散投資
不動産投資における分散とは、大きく分けると以下の2つです。
- 投資エリア:どの地域を投資対象とするか?
- 物件の種類:住宅か、それともオフィスや商業施設か?
このような視点で選んだ不動産を専門家が選び、運用するのがREITです。
物件の種類について、もう少し細かく分類すると、以下のように区別できます。
- 住宅:戸建てorマンションやアパート
- 商業施設:ホテル、オフィス、工場、物流施設
商業施設のほうが、景気変動の影響を受けやすいのが特徴です。
どちらにせよ、不動産に詳しくない初心者が、いきなり物件を選ぶよりは遙かに安心感があります。
気軽に売買できる
不動産は相対取引です。
現物であれば、買いたいと言ってくれる相手がいないとそもそも取引できません。
もちろんその逆も然りで、買いたいと思っても売ってくれる人がいなければ取引が成立しません。
これは、すぐには売買できないことを意味します。
しかし、REITであれば、東京証券取引所を通じて、リアルタイムで売買できる点がメリットです。
4つもメリットがあるのは嬉しいですね。
REITのデメリット
株式のように値下がりするリスクあり
投資信託なので、株式のように値動きするリスクはあります。
投資した金額が保証される、元本保証では無いことを事前にチェックしておきましょう。
また、価格変動率は以外と高い点に注意が必要です。
高利回りで安全と思われがちですが、コロナショックにより、REIT指数は50%ほど下がりました。
2021年7月2日現在では、コロナショック前までの状態に戻りつつあります。
しかし、ボラティリティ(変動率)の高さから、リスク許容度が高めの方向けの投資商品と言わざるを得ません。
分配金も減る可能性はある
次に考えられるデメリットは、賃料や地価の下落で、分配金が減る可能性があることです。
REITを購入することで、間接的に不動産投資をすることになるので、当然のデメリットとなります。
ただし、分配金が経る時期もあれば、増える時期もあります。
分配金自体が平均して4%前後と比較的高い水準であることを考えると、多少の増減は許容範囲とも言えます。
自然災害など、物件の損壊や金利変動リスク
日本は地震や台風、津波などによる物件損壊リスクを受けやすいです。
そして、忘れてはならないのが金利変動リスクです。
JーREITは銀行からも資金を調達しています。
例えば、銀行から100万円を金利1%で借り入れていたところ、2%に金利が上がってしまった場合どうなるでしょうか。
その場合、年間の利息1万円を銀行に払うだけで良かったのが、2万円に増えてしまいます。
すると、投資家に分配していた分のお金を、銀行に払わなければなりません。
よって、投資家への分配が減ってしまうリスクに繋がるのです。
ボラティリティの高さは以外でした…
日本で参考になるREITの指数は?
REITと一言でいっても、その種類は豊富です。
よって、まずは全体的な傾向として、指数を見ることをおすすめします。
代表的な指数は、「東証REIT指数」です。
そのほかにも、不動産の用途別に3つの指数があるのでご紹介します。
東証REIT指数
東証に上場するすべてのREITの時価増額加重平均を指します。
※時価総額加重平均とは、単純にすべての銘柄を平均した値ではなく、量の大小を反映する計算方法です。基準となる一定時点での時価総額合計と比較することで求められます。
時価総額の大小を反映するため、時価総額の大きい大型株の値動きに影響されやすい性質をもちます。
よって、ある程度REITの候補が絞られている場合、もう少し細かい指数も参考にするべきです。
その指数が、不動産の用途別に分けた以下の3つとなります。
東証REIT住宅指数
住宅用物件を多く保有するREITで構成された指数
過去の推移は以下のページで確認できます。
株価指数リアルタイムグラフ – 東証REIT住宅指数 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)
東証REITオフィス指数
オフィス用の物件を多く保有するREITで構成された指数
過去の推移は以下のページで確認できます。
株価指数リアルタイムグラフ – 東証REITオフィス指数 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)
東証REIT商業・物流等指数
商業用途、物流用途の物件を多く保有するREITで構成されている指数
過去の推移は以下のページで確認できます。
株価指数リアルタイムグラフ – 東証REIT商業・物流等指数 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)
JーREITのセクターは6つ
JーREITは基本的に以下の6種類に分けられます。
- 住宅(居住用のマンション)
- オフィス(オフィス用ビル)
- ホテル(宿泊施設)
- 商業施設(ショッピングセンター)
- 物流(倉庫や物流センター)
- ヘルスケア(高齢者向け住宅)
この種類のどれかに投資をしていることになります。
特徴を以下にまとめました。
住宅REIT
居住用のマンションに投資するREITです。
景気の影響を受けにくく、分配金が安定しているのが特徴です。
理由は、景気が悪くなったからといって、住む家が必要なくなる訳ではありません。
また、不況で家賃が下がるといったこともおこりません。
地域は東京、大阪、名古屋、福岡など都市部に集中しているのが特徴です。
そして、高い入居率を誇ります。
住宅REITは、安定的な運用が期待できますね。
オフィス・ホテル・商業施設REIT
景気の影響を受けやすいのが特徴です。
オフィスは、賃料や稼働率も安定しません。
ホテルは、イベントや世界的な感染症などの影響を大きく受けます。
そして、商業施設は昨今インターネットでの買い物が増えたことで、市場は縮小傾向です。
オフィスとホテルREITは、景気敏感銘柄です。
物流・ヘルスケアREIT
物流やヘルスケアは、今後注目が集まっているセクターです。
上述したように、ネットでの買い物が主流となりつつある昨今、物流セクターは恩恵を受けています。
また、ヘルスケアに関しては、少子高齢化社会を背景に今後もしばらく伸びていくことが予想されます。
ただし、歴史が浅く規模は小さいので、少し様子を見た方が良さそうです。
物流は市場拡大中です。また、ヘルスケアは成長性が期待できます。
具体的な銘柄選び
まず、ポートフォリオの何%に投資するかを決めます。
ここで考えたいのが市場規模です。
世界的に見て、REIT自体の市場規模は3%と小さいです。
以上から、ポートフォリオにも少ない割合で組み入れるのが無難です。
そして、これまで日本のREITを軸に解説してきましたが、世界のREITの時価総額比率は米国66%、日本10%です。
つまり、米国の不動産を含めた銘柄選びを考慮したいところです。
米国のREITに投資するならIYRもしくはSPYD
IYR
IYR(iシェアーズ米国不動産ETF)は米国籍のETFです。
ダウ・ジョーンズ米国不動 産指数に連動する投資成果を目指します。
上位組み入れ銘柄は、アメリカンタワーやプロロジス、クラウン・キャッスル・インターナショナルなどが挙げられます。
2021年7月2日時点での、直近配当利回りは2.05%です。
また、5年トータルリターンは、7.84%です。
経費率が0.42%という点がネックです。
SPYD
米国高配当ファンドであるSPYDにも、結構な割合でREITが含まれています。
そして、経費率もIYRほどではありません。
私は不動産への投資も兼ねて、SPYDを保有しています。
保有割合に関して気になる方は、以下の記事をご参照ください。
JーREITに投資するならJリートインデックス
JーREITは60種類以上と、セクターにこだわりが無ければ銘柄選びにも一苦労です。
銘柄選びに時間をかけたくない方や、広く分散投資したい方におすすめなのが、Smartーi Jリートインデックスです。
東証リート指数に連動するインデックスファンドとなります。
購入時手数料は無料で、信託報酬は0.187%(税込)、信託財産留保額は無しです。
ただし、分配金は再投資されるので、分配金目当ての方はそもそも選択肢から外れます。
そのほかにおすすめの投資商品は?
Jリートインデックス以外では、「eMAXIS Slim 国内リートインデックス」が候補に挙がります。
Jリートインデックス同様の指数で、運用を目指しており、手数料も同等です。
もちろん、積立NISAによる非課税で長期運用も可能です。
三菱UFJ国際投信のインデックスファンド・シリーズ eMAXIS(イーマクシス) (emaxis.jp)
さらに、口座開設なら、SBI証券もしくは楽天証券を選べば間違いありません。
まとめ
不動産への投資手段として、REITはありだと個人的には考えています。
ただし、分配金目的であれば、ETFが第一選択です。
JーREITで、投資対象の種類にこだわりが無い方や、資産分散目的で保有する場合は、「Jリートインデックス」や「eMAXIS Slim 国内リートインデックス」で十分です。
一般的に、REITはミドルリスク・ミドルリターンという立ち位置ですが、以外にボラティリティは高いということを忘れてはいけません。
本記事の内容は以上です。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
※投資は自己責任でお願いします。
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