医療保険と言っても、終身や掛け捨てなどニーズに合わせて多様な商品があります。
医療保険は必要か?それとも不要か?
貯金があれば医療保険に入る必要はありません。
では、どの程度の貯金で医療保険は不要なのか?
そもそも、医療保険に加入するべきかなのか?
このように悩む方もいらっしゃるのではないかと思います。
その悩みに対し、本記事では公的医療保険の内容も交えてお答えします。
医療保険に加入する目的
医療保険に加入する目的は、万が一の備えです。
生活防衛資金が無い場合、不幸に備える手段となります。
保険の性質上、加入者からお金を集めて、万が一の事態となったとき、初めてプラスとなります。
この仕組みから、多くの加入者は損をする仕組みになっているのです。
よって、保険は不幸の宝くじとも呼ばれています。
公的医療保険でどこまで補えるのか?
そもそも国民皆保険制度がある日本
公的医療保険は対象に合わせて主に2つあります。
自営業であれば国民健康保険、会社員では健康保険に加入しています。
保険料については、本記事では割愛します。
では、万が一の備えに対して、この公的保険でどこまで補えるのか?
その答えとして、4つの制度に着目します。
これを知ると、日本の公的保険がいかに手厚いかが分かります。
高額療養費制度
医療費がたくさんかかったとしても、1か月あたりの自己負担額が決まっています。
この制度は、病院で支払った医療費が、1か月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合、その超えた金額が支給される制度のことです。
例えば、年収が約400万円の会社員に、月100万円の医療費掛かった場合、自己負担は月8万7,430円となります。
70歳未満の自己負担限度額の計算式は以下の通りです。
- 標準報酬月額83万円以上:252,600円+(総医療費ー842,000円)×1%
- 標準報酬月額53万~79万円:167,400円+(総医療費ー558,000円)×1%
- 標準報酬月額28万~50万円:80,100円+(総医療費ー267,000円)×1%
- 標準報酬月額26万円以下:57,600円
- 住民税非課税世帯(低所得者):35,400円
健康保険適用の治療の場合は、過度に自己負担の心配をする必要はありません。
傷病手当金(会社員の場合)
傷病手当金は、病気やケガで会社を3日間連続して休んだ場合、4日目以降の休んだ日から、最長1年半にわたり支給されます。
支給額は、1日あたりの給料平均金額(=標準報酬月額÷30日)の3分の2です。
「高額療養費制度で負担は軽減したとしても、そもそも収入が途絶えて生活できない。」
このような事態に備えてくれるのが、傷病手当金なので、覚えておきましょう。
大企業の組合健保などでは、一般の高額療養費制度よりもさらに自己負担が少なくなるところもあります。
一方、自営業の方は高額療養費制度は使用できますが、傷病手当金はもらえないことに注意です。
出産育児一時金と出産手当金
出産育児一時金により、被保険者または被扶養者が出産した場合、1児につき42万円が支給されます。
また、被保険者が出産のために仕事を休み、十分な給料を受けられない場合、出産前の42日間と出産後の56日間のうち、仕事を休んだ日数分が支給されます。
支給額は、傷病手当金と同様で以下の通りです。
1日あたりの給料平均金額(=標準報酬月額÷30日)の3分の2
自営業の方の場合、出産手当金は支給されないことに注意です。
後期高齢者医療制度
その他にも、75歳上を対象とした、後期高齢者医療制度があります。
自己負担額は医療費の1割です。
これには、被扶養者制度がありません。
ちなみに、保険料は各都道府県の後期高齢者医療広域連合で決定されます。
実際にどのくらい公的医療保険で補えるか?
実例:年収約400万の会社員が、2か月間入院し、月々100万円かかった場合
食費が1,500円/日 ベッド代が5,000円/日と仮定すると…
- 自己負担総額
- 医療費自己負担:87,430円(高額療養費制度適応後)×2か月=174,860円
- 食費+ベッド代:6,500円×60日=390,000円
自己負担総額は、2か月間で合計564,860円です。
これに2か月間の傷病手当金を計算します。
- 傷病手当金
- 約300,000円×0.66(2/3)=約200,000円
傷病手当金は合わせて200,000円×2か月=400,000円となります。
自己負担総額ー障害手当=164,860円が実質負担額です。
以上のような実質負担が、貯金で補えない場合は医療保険の加入が必要です。
もちろん、ベッド代が必要ない病院や高い個室もあるため、計算はあくまで参考程度です。
さらに、住宅ローンや、家族の生活費などを賄わなければならない場合、どの程度保障されるか保険内容についても詳しく見る必要があります。
逆に、預貯金でカバーできると判断すれば、医療保険はマストではありません。
そもそも国は、入院期間を短くしたい
厚生労働省は、平均在院日数の短縮に向けた取り組みを推進しています。
この取り組みにより入院医療費の抑制を図る仕組みとなっています。
足を骨折しても、状態が安定して松葉杖さえつければ早期退院を勧められる可能性があったり、在宅での見取りも最近話題になっています。
こうした背景により、病院での療養費は思ったほどかからない可能性がありそうです。
むしろ、医療費にかかる保険料を、貯金や資産運用により働けない期間でも収入を補える、不労所得を増やすほうが賢明かもしれません。
一番は健康を維持すること
保障以外にも大事なことは、病気やけがを予防して、万が一となる確率を減らすことです。
- 食事のバランスや適度な運動を心がける
- お酒はほどほどに
- 喫煙の頻度を減らす
- ストレスを抱え込まない
健康はお金では買えません。
やっとお金に余裕ができて、これから人生を楽しみたい
そんな矢先に、病気になり入院生活を余儀なくされることは避けたいですよね。
日頃からすべてを習慣化するのは難しいですが、健康寿命を延ばせるようにできることから始めましょう。
終わりに
その他にも、
- 車による不慮の事故に対しては、自動車保険
- 業務上の事故やケガは、労災保険
ケガや事故の原因にもよりますが、多くの保険により私たちの生活は保障されています。
ちなみに、厚生労働省が算出している入院受療率は、あくまで目安であり気にする必要はありません。
あくまで確率であるため、明日は我が身となる可能性があり得るからです。
医療保険の概要について、もう少し知りたい方はこちらをご覧ください。
我が国の医療保険について |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
最後に、医療保険に加入するかの判断材料としては、
どのくらい貯金があるか、または貯金できそうか?
今の健康状態はどうか(病気になるリスクは高いか)?
我が家では、いくら医療費以外の保障が必要なのか?
仕事が続けられなくなったときに、代わりの収入があるのか?
を参考にしてみてください。
そして、まだまだ働き盛りで医療保険が必要と判断された場合は、掛け捨てで十分かなと考えます。
その他にも、本ブログではライフプランニングに関わる公的制度についてまとめています。
将来の年金に関する不安がある方は、以下の記事をご参考ください。
サラリーマン(会社員)は将来年金がいくら貰えるのか?老後に備える前に知っておきたい年金受給額
想定される最悪の状況や、病気になるリスクを考えたうえで、最良な選択をしたいですね。
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