以前、米国株に分散投資する手段として、投資信託の【SBIバンガードS&P500】についてご紹介しました。
S&P500指数やナスダック100指数に連動する大型株のETF、投資信託でも十分なのですが、米国の中小小型株まで幅広く投資したいと思われる方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、米国株式市場全てに投資ができるETF【VTI】(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)についてご紹介します。
全ての米国企業の株主になりたい方
そもそもVTIとはどのようなETFか知りたい方は必見です。
また、紹介の最後に人気ETFであるVOOとの比較もしていきます。
VTIの指標と主な構成銘柄
VTIは、CRSP USトータル・マーケット・インデックスに連動することを目標に運用されています。
この指標に連動したETFは、アメリカ株式市場の投資可能銘柄ほぼ100%(約3500銘柄)に投資をします。
よって、アメリカ市場全体の値動きを見るのに役立つETFとなっています。
この投資を個別株で実現しようとすると、かなりの費用が掛かることが分かります。
少額で米国株式市場全体に投資できる(しかも3500社)
かなり魅力的なETFだと思います。
主な構成銘柄(上位10銘柄)
上のグラフが純資産総額に占める上位10銘柄の割合です。(2020年10月31日時点)
シンボル AAPL | 構成比 5.127 % | 市場価格 $ 47,242,798,488 | シェア 433,977,572 |
MSFT | 4.689 % | $ 43,203,696,706 | 213,383,201 |
AMZN | 3.956 % | $ 36,448,746,966 | 12,004,923 |
FB | 1.936% | $ 17,835,590,174 | 67,787,580 |
GOOGL | 1.486% | $ 13,694,583,221 | 8,473,794 |
GOOG | 1.406 % | $ 12,956,770,213 | 7,993,023 |
BRK.B | 1.153 % | $ 10,620,629,489 | 52,603,415 |
JNJ | 1.104 % | $ 10,173,441,617 | 74,199,122 |
PG | 1.043% | $ 9,610,412,493 | 70,097,830 |
V | 0.933 % | $ 8,601,235,582 | 47,334,960 |
米国小型~大型株まで投資対象のレンジは幅広いですが、やや大型株よりに構成銘柄はフォーカスしています。
セクター別の比率
テクノロジー | 26.40% |
金融 | 16.30% |
消費サービス | 14.20% |
ヘルスケア | 14.00% |
資本財 | 11.80% |
消費財 | 7.90% |
公益 | 3.00% |
石油・ガス | 2.60% |
素材 | 2.00% |
電気通信 | 1.80% |
テクノロジーセクター(IT企業)は株価が上がりやすい(キャピタルゲインを狙いやすい)ですが、配当金は少ないセクターです。
一方、金融や資本財セクターは配当金が多く、景気の変動を大きく受けます。
よって、金融や資本財セクターは、コロナショックのようなタイミングで値下がりしやすいセクターになります。
テクノロジーセクターでキャピタルゲインを狙いつつ、金融・資本財で配当金も狙える構成になっています。
VTIの株価推移
VTIのチャートはきれいな右肩上がりを示しています。
コロナショック後も高値を更新しています。
VTIの配当金利回り
現在の配当金利回りは1.89%です。
配当利回りの推移はおおよそ1.7~2.5%程度です。
配当金はそこまで高いとは言えません。
ちなみに、大型株式で構成されているVOOのほうが、わずかに利回りが高めです。
ただ、どちらも大きな差はないので、気にしなくてよいレベルです。
VTIとVOOの比較
最後に、S&P500に連動した【VOO】と、今回紹介したVTIの比較をしていきます。
基本データ
まずは基本データの比較です。
VTI | VOO | |
インデックス | CRS US トータル・マーケット・インデックス | S&P500 |
運用総額 | 1425億ドル | 1351億ドル |
構成銘柄数 | 3531 | 510 |
経費率 | 0.03% | 0.03% |
配当利回り | 1.72% | 1.75% |
設定日 | 2001年 | 2010年 |
一番の違いは、なんといっても構成銘柄数です。
小型株を含めた分散性が、VTIの魅力といってもよいかもしれません。
一方で、VOOは米国を代表する大型株510社となっています。
ちなみに、構成されている上位10銘柄は構成比率に少し違いがあるだけで、銘柄自体は同じです。
セクター比率の比較
セクターの区分は少し違いがあります。
共通しているのは、情報技術、ヘルスケア、金融の比率がVTIとVOOともに高いことです。
以下が上位5セクターになります。
ちなみに、上位5セクターだけで7-8割を占めます。
順位 | VTI | VOO |
1 | テクノロジー | 情報技術 |
2 | 金融 | ヘルスケア |
3 | 消費サービス | コミュニケーション |
4 | ヘルスケア | 一般消費財 |
5 | 資本財 | 金融 |
その他の違いとしては、VTIに石油・ガス・素材・電気通信セクターが含まれていますが、VOOには含まれていません。
対して、VOOには、生活必需品や不動産が含まれていますが、VTIには含まれていません。
その他のセクター比率はどちらも大きく変わりない印象です。
基準価格とリターン
次に、基準価格とリターンを見ていきましょう。
表に示すのは基準価格と1年トータルリターンです。
2020年11月には、VTIが1年トータルリターンがわずかに上回っています。
VTI | VOO | |
基準価格 | 183.19 | 326.52 |
1年トータルリターン | 18.0% | 16.53% |
VOOが設定された2010年から現在までのチャート比較です。
10年で比較すると、わずかですがVOOのほうがパフォーマンスとして優れているように見えます。
ただ、ほとんど誤差の範囲内といってもいいレベルです。
よって、パフォーマンスは大きく変わらないと考えて良いでしょう。
VTIとVOOは結局どちらがおすすめ?
経費率は0.03%と同じです。
チャートに関してもVOOはほぼ同じ値動きをしています。
かの有名な投資家ウォーレンバフェット氏がS&P500指数への投資を推奨していることから、VOOの人気や株価の高さもうかがい知れます。
しかし、基準価格からみた購入のしやすさや、分散性という視点からはVTIにやや軍配が上がりそうです。
米異国企業の中・小型株式にも分散させたいという方はVTIがおすすめです。
おわりに
今回は、VTIの紹介とVOOとの比較を行いました。
まとめとしては、
- VTIは中小型株も含め3500銘柄、VOOは大型株500銘柄
- 経費率や分配金利回り、トータルリターンに大きな違いは無し
- 中小型株を含め分散した投資をしたいのであればVTI
- 大型株かつS&P500に投資したいのであればVOO
どちらを選んだとしても、預金だけの人に比べ資産運用には間違いなくプラスに働くしょう。
投資は自己責任でお願いします。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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