もし万が一病気や事故で死亡した場合、金銭的に家族を守ることができるでしょうか?
子どもが小さい時期や十分な貯蓄がない場合には、こうしたリスクに備える必要があります。
リスクに対し、しっかり備えるに越したことはありません。
しかし、必要以上の保険に加入してしまう方も多いのではないでしょうか。
そこで、必要十分な保険か判断するのが、公的制度を踏まえたライフプランの作成です。
今回は、死亡リスクに備えた生命保険がどこまで必要かを数字に基づいて解説します。
60歳までに死亡する可能性はどれくらい?
まず、死亡率についてざっくり見ていきます。
60歳までの死亡率は男性で7%未満です。
さらに、女性では5%を切る確率となります。
しかも、20-30歳代の死因第一位は自殺です。
厚生労働省:死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合 (mhlw.go.jp)
ただし、いくら低いとはいえ、確率はあくまでも確率です。
低い確率の中に、自分がいつ入ってしまうかわからないため、保険に加入するのです。
死亡に備える生命保険の種類
生命保険の種類は大きく分けて、死亡保険、生存保険、生死混合保険があります。
生存していることでも支払いがあるのが、後者2つの特徴です。
ですが今回は、死亡した場合に支払われる死亡保障タイプの保険について、詳しく見ていきます。
死亡保障タイプの保険
死亡保障タイプの保険には、以下の4つがあります。
定期保険
一定期間内に死亡した場合、保険金が支払われます。
- 保険料は掛け捨て型
- 満期保険金はない
このような特徴があり、保険料が安いのがポイントです。
より具体的には、保険金額が一定の平準定期保険や保険金が年金形式で支払われる収入保障保険があります。
収入保障は保険期間満了の1年前に死亡した場合、その1年分しか保険金が支払われません。
終身保険
保障が一生涯続くタイプの保険です。
保険料の払い込みが一生涯続く、「終身払込み」と一定期間で終了する「有期払込み」があります。
満期保険金はありませんが、早期に解約すると解約払戻金があり多少の貯蓄性も併せ持ちます。
他の条件が同じなら、終身払込みより、有期払込みのほうが保険料が高くつきます。
定期保険特約付終身保険
終身保険を主契約とし、これに定期保険特約を付けることで、一定の死亡保障を厚くした保険です。
定期保険の期間を全期間とするか更新型とするか選択します。
アカウント型保険
利率変動型積立終身保険とも呼ばれます。
支払った保険料を積み立て部分と保障部分に一定の範囲内で自由に設定できます。
アカウントとは口座のことで、保険に銀行口座と同じ機能を備えています。
利率変動型といっても、最低保証利率は設定されているみたい。
公的保険でどこまでカバーできるか?
死亡保障タイプの保険について整理できました。
次は、公的保険制度がどの程度保障してくれるかを見てみましょう。
遺族給付
死亡した場合、一定の条件下で遺族は年金を受け取れます。
保険料納付の要件は、国民年金被保険者であることはもちろん、保険料納付済み期間と保険料免除期間合わせて、被保険者期間の2/3以上であることなどが挙げられます。
また、受給できるのは18歳になって最初の3月31日までの子、または前述した子のある配偶者です。
年金額は以下の通りです。
年金額=781,700円+子の加算額
寡婦年金や死亡一時金
国民年金の第1号被保険者(自営業など)は寡婦年金や死亡一時金といった独自給付があります。
ただし、いずれか一方のみの受給となります。
- 死亡一時金は、被保険者期間が3年以上
- 寡婦年金は婚姻期間10年以上
このように、期間に縛りがあることに注意が必要です。
遺族厚生年金
会社員の場合、要件を満たすと遺族基礎年金に遺族厚生年金が上乗せされます。
年金額は老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4相当額です。
計算が少しややこしいので、本記事では割愛します。
必要な保険金額=年間の支出総額-(公的年金+資産)
公的年金で賄われる金額がわかれば、年間の支出から必要な保険金額が計算可能です。
年間の支出総額は以下の費用を考えましょう。
- 未子独立前後での遺族生活費
- 子供の教育費や住居費
- その他予備費
死亡の場合は、末子独立までの遺族生活費用を現在の生活費およそ70%として考えるのが一般的です。
また、資産には、預貯金や資産運用総額等が含まれます。
それでは、例として夫(自営業)死亡時に配偶者(収入850万円未満)あり、18歳未満の子ども2人の場合で計算します。
実際に試算した結果
781,700円+子の加算額(第2子まで各224,900円)
計算の結果、遺族基礎年金だけでも、123万1500円が毎年遺族の年金として受け取れます。
仮に会社員で、受給要件を満たしていれば、障害厚生年金も受け取れます。
ここで考慮したいのが、年数が経過することで、年間支出も変化する点です。
物価上昇や親の介護費用等、その他将来の支出を予測しておく必要があります。
例)年間支出総額が250万円(70%補正後)
遺族年金123万円が現時点で見込める場合
250万円-123万円=127万円は民間の生命保険で補う必要があります。
月々で換算すると、10万円+α(考えられるその他の費用)が必要です。
このように、本当に必要な保険金額になっているかは見直していきたいですね。
保険に貯蓄性が必要ない理由
必要十分な保険はもちろん必要です。
しかし、貯蓄と保険は分けて管理するべきです。
理由は、貯蓄性のある商品では、どうしても保険料が高くつくためです。
必要以上の保険料を抑えることで、備えとしてのお金に回すことができます。
そして、お金がある程度貯まれば、資産運用でお金を働かせることで、さらに保険料を抑えられる可能性も出てくるのです。
おすすめは掛け捨ての保険
では、どのような保険のタイプが望ましいのでしょうか?
おすすめしたいのは、定期保険の中でも、年金形式で保険金が支払われる収入保障保険です。
前述したように、他タイプの保険に比べ保険料は安くなります。
また、死亡保険金が一括か年金形式か選択できます。
ライフプランをしっかり織れば、計画的に十分な保険金が受け取れるのが利点です。
ただし、一括受取では保険金額が少なくなる点に注意!
もちろん、その他の定期保険でもよいです。
保険商品を決める基準については、別の記事でまとめる予定です。
まとめ
まとめは以下の通りです。
- 公的年金でどの程度補えるか試算する
- 必要な生命保険金額=年間の支出総額-(公的年金+資産)
- 死亡保障タイプの保険は掛け捨て一択
- 生命保険は必要十分な保険金をかける
必要以上に保険料を払いすぎたり、逆に生命保険不要論に流されないように本記事が参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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